道祖神祭

1月14日は道祖神祭である。道祖神は村の境界や峠、または道の辻などに祀られ、 土地を守る神、あるいは他の地から入って来る災厄を防ぐ神とされ、塞の神(さいのかみ)とも呼ばれる。 土地の人々は訛ってサエノカミとかエセノカミと呼んでいる。
14日には、正月の門松や注連縄(しめなわ)、古いお札などを祠の前や村の辻で燃やすので、 トンドあるいはドンドン焼きなどというが、相模原ではこの火祭りの火のおきで、枝に挿しただんごを焼くので、 この行事をだんご焼きと呼んでいるところが多い。
だんご焼きの準備のために、子どもたちは7日の朝早く、各家々で抜き取った門前の門松や注連縄を集めて、 村の道祖神の祠の前か、道の辻に運んで行って積み上げる。そこにはすでに暮れのすす掃きのあとで納めた、 古いお札やだるま、すす払い竹などが積み上げてあるので、大きい山になる。
14日の夕暮どきになると、子どもたちはその朝作ったメエダマだんごを、ウメやミズキの三つ叉の枝に挿し、 また正月2日に書いた書初めを持って、エセノカミの前に集まる。 大人や子どもが大勢集まったところで、世話役が門松や注連縄に火をつけると、赤い炎が夕暮の山かげに燃え上がる。 この火を目がけて、子どもたちは手にした書初めを投げ込む。 それが高く舞い上がると字が上手になるという。
また、その火がおきになると、そこへ三つ叉に挿したメエダマだんごを差し伸べて焼く。 焼けただんごは友達どうしで交換して食べる。 昔から、これを食べると一年中風邪を引かないとか、中風や虫歯にもかからないといわれている。 また、トンド焼きの燃え残りを持ち帰って、家のまわりに置くと泥棒除けになり、灰を持ち帰って畑にまくと、 土地が暖まるなどの言い伝えもある。  燃えさかる火の音、大勢の人々の話し声や笑い声に賑わった山際も、子どもたちが焼いただんごを手にして 家路に向かったあとは、再び元のように静まり返る。 だんご焼きが終わると、子どもの正月行事もひと区切りとなる。

以下の画像は、令和2年どんど焼き